「介護分野の人手不足と外国人留学生のお礼奉公」
本日のZoom例会は小林磨史中信第2グループガバナー補佐(松本南RC)のクラブ訪問日です。来月のZoom例会には折井正明RI2600地区ガバナーがクラブ訪問されます。8月のZoom例会では出席者が少なく古川クラブアドバイザーからも苦言をいただいております。皆さんご多忙の折恐縮ですが、多くの会員の皆さんにご参加いただき、ガバナー補佐、ガバナーのクラブ訪問を歓迎いたしましょう。
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さて、本日も9/23日本経済新聞に掲載された「外国人『共生』の実相~「お礼奉公」拒否(略)~」の記事をもとに考えてみたいと思います。
介護分野の人手不足は深刻です。政府の推計によると2040年には介護職員は69万人不足すると想定しています。2017年に技能実習の対象職種に「介護」が追加され、2019年には特定技能の在留資格で、「介護」が対象分野とされました。介護分野での技能実習・特定技能の占める割合は年々大きくなっています。
一方で留学生として来日し、専門学校などで介護業務を学んで、介護福祉士の資格を取って就職する場合もあります。介護福祉士養成施設への入学者のうち、1/4は外国人留学生となっており、専門学校などの経営を支えていると言われています。
介護課程を持つ専門学校の学費は2年間でざっと200万円。東南アジアなどの新興国で多額の学費を準備できるケースはごくわずか。そこで厚生労働省では採用予定の留学生を介護施設が学費などを奨学金で支給する場合、1/3を補助金として助成する制度があります。残りの2/3は介護施設の負担になります。
こうした奨学金を介護施設が支給するケースでは、入学前に留学生に介護施設で一定期間(例えば3年間)働くことを「誓約書」などで事前に約束する場合が大半です。介護施設での就労を条件に奨学金を支給する、これを「お礼奉公」と称しています。
この記事が取り上げている高知地裁の判決では、原告のベトナム人留学生の勝訴となりました。この訴訟の被告は専門学校で、系列の社会福祉法人で3年間働くことに異を唱えた留学生を退学処分にしたため、「退学処分は学校側の裁量を逸脱している」として訴えたものです。確かに学校側の対応は「職業選択の不当な制限」に当たるかも知れ
ません。「お礼奉公」などと前近代的な言葉を使われると、余計にそういう印象は拭えないでしょう。
しかし、一般論で言えば、奨学金を負担している介護施設にとっては切実な問題で、関係施設への勤務を条件に奨学金の返済を免除する仕組みそのものは、一概に「どちらが善で、どちらが悪」とも言えないものだと思います。日本人だけでは介護の業務を支え切れない現実を踏まえると、こうした奨学金制度がいい意味でのモチベーションとなって、外国人の介護人材が増えてくれれば、過酷な介護の現場を助けてくれる貴重な人材となることでしょう。